限定承認に関わる税
財産を相続する方法には単純承認・限定承認・相続放棄の3つがあり、なかでも特殊なのが「限定承認」です。限定承認とは、相続するプラス財産の範囲内でマイナス財産の債務を弁済するというもので、相続したいプラス財産がある場合に有効な方法だといえます。
このように相続人にとっては大きなメリットが得られる限定承認ですが、その手続きは複雑で、相続人全員の同意がなければ手続きを進めることはできません。こうした理由から限定承認を選択される方はほとんどいないというのが現状です。
しかしながら、相続財産を調査したうえで「限定承認をしたい」と検討される方もいらっしゃるかと思います。その場合、どのような税金が課せられることになるのかをご説明いたします。
限定承認で発生する「譲渡所得税」
限定承認を選択した場合、相続財産は被相続人から相続人に時価で譲渡したことになります。その際に譲渡所得(売却利益)を得ている場合に発生するのが「みなし譲渡所得税」というもので、この税金は被相続人に対して課されます。つまり、限定承認で被相続人の財産を相続する場合、譲渡所得税の支払い義務も受け継ぐことになるというわけです。
なお、この譲渡所得税はマイナス財産として扱われるため、プラス財産の範囲内で弁済することになります。ご自身が限定承認した場合に発生する譲渡所得税の算出は相続財産によって異なるため、検討される際は相続の専門家に相談すると良いでしょう。